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いつも何かに心惹かれて語りだす、起伏の激しい無節操ライフ。
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 〔かたり部語り〕


 〔語り部、他称神と語る〕



 ※神無月暁夜様のオリジナルキャラ、緋雪さんとのコラボ座談会です。
  三条が書く語り部の台詞はこの色、神無月様が書かれる緋雪さんの台詞はこの色になります。


 椅子をひく音がして、二人の男性が机をはさんで向き合う。

 一人は物語を語る者。 もう一人は他称神。

 

「というか、他称というのもどうかと。最初の発言がこれというのもどうかと思いますけどね」


 語り部が簡単な紹介文に突っ込みを入れた。


「仕方ねぇだろ、自称だと頭痛い人じゃねぇか。まぁあんま変わんねぇけどな。
 ああでも神って呼ばれんの嫌いなんだよな、だから・・・そうだな、緋雪とでも呼んでくれ」


 それを聞いて、語り部はかくんと首を横に倒した。


「まぁそうですね。自覚があるだけマシですね。
 俺、神とかいう存在は肯定も否定もしないタチなんで、その申し出は結構嬉しかったりします。
 本日はよろしく緋雪さん、オレは語るのが仕事なんで話長いんですがそこは語り部の存在理由として広い心で受け止めて下さい」


「否定も肯定も・・・ね。まぁそうだろうな、語るべき者がどちらかに傾けばその意義は失われる。賢い選択だ。
 話が長いのはいいさ、一々クソ長いったらしい喋り方しやがるあいつより全然いいだろ。そこに意味があるならな、俺はそういうのは大好きだよ」


「意味なんてありませんよ」


「うわ超ソッコー否定された!何だよ嫌味な奴だなオイ」


 そう言いつつ緋雪は目に見えて愉快そうに笑う。
 白い喉の奥から耐え切れない笑声が漏れだし、押さえる訳でなく口元を片手で覆った。


「おや、笑われましたね。俺なんか変なこと言いました 嫌味だというのは否定しませんが。
 それより緋雪さん貴方笑いすぎです俺傷つきます」


「ははっそれは悪い。ああでも楽しくてなぁ、俺の周りの連中にお前みたいなタイプ少ないんだよ。
 言葉遊びは嫌いじゃないんだけどな、本職の方が忙しくて中々時間がとれない故に出来ないあと可能な思考回路の持ち主と会えない。つまんねぇよなぁ?」


「えぇ、つまりませんね。そう、今貴方と話している俺の気持ちのように」


「うぜぇぇ!お前すごいなよく言えるよ逆に素晴らしいよいや素晴らしいわけねぇな本当失礼な奴だなもう失礼度で言ったら幸太並だな畜生あの野郎いつもいつも要らんこと言いやがって。
 ったくああこの世の理不尽だよお前もあいつもな!」


 渋面をつくり頬杖をつき、緋雪は溜め息を深く吐き出す。


「・・・はぁ・・・。いや、まぁ冗談ですけどね」


「オイオイオイオイ凄ぇ面倒臭ぇ奴だなお前まぁいいけど。扱い辛ぇなぁ。
 なぁ語りべよ、人に非ずは物語が好きなんだよ。俺も例に漏れずな。さぁ役目を果たせよ語るべき小さき者」


「あぁ、すみません。ちょっと元気ないみたいです、俺。多分・・・戸惑っているんですよ。
 そう俺は語りを生業とする者 それなのに語っていないそのせいですね。
 欲求不満です。紅茶が飲みたい気分になってます。
 貴方も何か飲みます?紅茶か、コーヒーか。用意しますよ」


「ふぅんそれは俺の所為かな?存外素直だなぁお前。
 で、何、お前紅茶好きなのか?俺ん所の人間でびっくりするくらい淹れんの上手い奴いるんだけど、今度我らの地へくることがあったら来いよ。味わわせてやる。
 というわけで俺紅茶な、あ、アールグレイはナシな。俺あれの匂いダメなんだよ」


「アールグレイ、ダメなんですか?それは残念。ならお好みのものをどうぞ。何でも用意できますから。
 紅茶は好きですね。コーヒーも。基本、嗜好飲料は嫌いじゃないんですそこそこには。
 それと、さっきから思っていたんですが。貴方、あいつとかどこかの誰かさんとか、割と友達多いんですね聞いていると。ま、友達とは限らないでしょうけどつまらないとか言ってましたし。
 まぁ、それでも友達と呼べるもののない小さき語り部が言えたことではありませんが。貴方が思うほどには素直かもしれないので、俺泣きそうです」


「アールグレイ以外なら何でも。あ、ケーキとか付く?出切ればホール単位で。
 そうだな、嗜好飲料か。あれは元々”人間”の娯楽だから好まん奴も少なかろうよ。
 あとなぁ、さっきから言ってるあいつとかあいつとかあいつとか、基本的に部下というか・・・友人対等たりたいものだけどな、突き詰めれば配下なのさ。俺は頂点だからな・・・ああ嫌、俺の上には唯一がいらっしゃるけど。俺には下しかいないんだよ、なぁつまんねぇだろ?
 何だ、小さきっつったの根に持ってんのかよ本っ当可愛い奴だなオイ!最早数えることすら億劫になる程の永きを生きてきたこの俺と比べたら殆んど全てのものが小さく脆く弱いものなんだぜ?気にすることじゃねぇよ。
 勘違いすんなよ?俺は人も獣も命ある短く儚きものをとても・・・慈しんでいる。
 愛してはやれねぇけどな、っと・・・何だ、俺の方が話し長いなあ我ながらうざいわー」


「自覚しているならやるな、と世間一般ではそのような言葉がありますねぇ」


「いや、ねぇだろ」


「ではないとしましょうか。俺が小さき者であることは根に持っているわけではない、事実ですよ。誰一人として、それ以上はなく、かつ不平等です。
 それでこの世は成り立っている。都合よく、在るように在りのままに美しく残酷に温かく冷たい。それを判断するのはその人次第。それは俺も例外ではない。
 さて、ここでひとつ、言わせてほしいなぁと思うんですがね」


 語り部が片手を上げて誰かを呼びつけると、名もなき誰かはティーセットを持ってきてそれぞれのカップによい香りのする紅茶を注ぎ入れた。
 そうして、一礼してどこかへと消えた。

 語り部はカップに指をかけ、話す。


「神は、いない。とも言い切れない。しかしいるとも俺は証言できない。
 目の前にいる人間が果たして何者なのか、その本質を知る術を俺は持たない。だから俺は、貴方が本当にいるのかどうかも分からない神と判断することはできないんですよ。
 しかし。貴方が自らを神と称するなら俺は神である貴方を信じましょう。
 だが言ったように俺は神を知る事ができない。そしてその器を、俺がはかるわけにはいかないんですよ。
 俺ごときの、神以外がどうこう言ってもね。
 神の貴方は俺に理解を求めることは叶わない。俺は、在るかないかも定かではない『神』ではありませんから」


 そして最後に、付け加えた。


「長々言いましたが、結局のところ、俺は貴方と語りたいだけなんですよ。不明瞭な『神』などではなく、今俺の目の前にいる緋雪さんとね」


「・・・・・・・・・・・・馬鹿だなぁ、お前。いやこれ褒めてんのよ一応。だってお前の中には律が存在し己を持っている。揺らぐにしてもお前の存在は不定だからこそ確立している。素晴らしくうらやましいことだよ。
 いいかな語り部、実の所俺は人が呼ぶような神ではない。宗教上・・・キリストやら何やらの大いなる父ではない。俺はたった一人の暇つぶしが創り上げた産物で彼女が俺を”神たれ”と言ったから俺は神なのさ・・・・・・なんてな!
 うんよく分かんなくなってきたあーもう分かんねぇもういい俺あの人じゃねぇし真理なんざ知らねぇっつの!という訳で俺はこっから単なる”俺”だ、お前の願い通りにな!」


 これでいいんだろう?と、緋雪もまた紅茶を口にする。


「ふふ、いいねぇ俺を知らない奴と話をするのはとても楽しい。あーしっかし肩凝ったなぁ偉い喋り方向いてねぇんだよ俺。っつーかこれ旨くない?っつーかケーキないの?ティラミスとかモンブランとかオーソドックスにショートケーキとかさぁっていうか腹減ったんだけどー」


 緋雪の言葉にやっと、語り部は小さな笑み声を漏らした。


「ふ、ははは。そうでしたね、ケーキ・・・ホール単位でしたか。
 なかなかお茶目な『人』だねぇ。ようやく、貴方をほんの少しだけ、好きになれそうだ」


 ぽん、と彼は手を叩いて誰かを呼びつけ、注文をするようにと緋雪に手で示す。


「え、何、いい?めっちゃ頼むけどいい?」


 緋雪の目が子供のように輝いた。


「えぇ、貴方のお望みのままに」


「よっしゃ後悔すんなよ!
 えーまずショート、スペシャルショート、ミルクレープにパンプキンパイ洋梨のタルト アップルパイ フルーツタルト、あ、チーズタルト チーズケーキ、あとレア、スペシャルチーズ ベイクドチーズにガトーショコラ、抹茶シフォン 紅茶シフォン チョコシフォンあと、ティラミス モンブラン、オペラとナポレオン、そういや最近マンゴー系人気だよなあという訳でマンゴー系あるだけお願いでーす、あ、そんであとこれ、バナナケーキ?っつーかケーキ以外もアリ?アリだな?じゃーパフェ系全部よろ!!」


 そこで遂に、語り部は噴き出した。


「あっはははは、面白い人だ。そんなに好きですか。
 いいでしょう、じゃあ、それらをこの机に乗るだけ持ってこさせましょう。いきなり全部は無理ですから。
 よくそれだけ食べる気になりますねぇ、俺には無理ですよ本当に。
 紅茶の味わいを損ねない程度にお願いしますね、何にしても調和は大切ですよ。要らぬ忠告ですけどね、貴方の様子だと」


「あー俺ね甘いモノ好きなんだよねー卵焼きも砂糖たっぷり目じゃないとダメなのなー。
 糖分は世界を救うんだぜ!いや分からんけど!」


 恐るべき勢いで、出てくるケーキを消化していく緋雪に呆れたような溜め息も聞こえてきそうだ。


「俺の胃は自他共に認める”鋼鉄の胃”だからね、鉄超えたからね!ぶっちゃけ皿まで食うノリですよこれすごいんじゃね?」


「砂糖でできた皿は洗い物の心配がなさそうですね。でもそれは机が汚れるから同じことですか、やっぱり。
 素材の味は大切にしましょうよ、いくら甘いものが好きでも、それでは体に悪い。
 俺は糖分で救われる世界より緋雪さん貴方の体が心配です」


「やだちょっとそれ萌えるんだけどそれツンデレ?ツンデレ?ツンツンデレツン比率?
 うわ何これちょっ萌え!! あーうんごめん俺はオタクですけど何か?みたいな?」


「はぁ。俺その手の種族についてはあんま詳しくないんで。
 でもま、貴方がそれで喜ぶなら何度でも言いましょうか?」


「うんでも俺ツンデレより素直クールの方が好きかも!」


「そうですか。それもよく分かりませんが・・・好きなものを語る人を見ているのは俺としても楽しい。
 今日のこの席はまぁ無駄ではなかったと。そうなりますかね」


「それはいいな、そうであればいいよ。
 いいねぇホント、俺お前のことすごく好きだな!こうしてまたお茶出来たらいい」


「俺はまだ貴方のことをそこまで好きだなんて言ってませんけどね。
 けれどお茶することには賛成です。次回はケーキなしでいきましょうか。
 次回があるならば、の話ですけどね」


「勿体ぶるなぁ!
 いいさ、俺はお前が気に入ってるんだよああ実に君は素晴らしいよどうだ是非お友達から・・・・・・なんてな。告白かよ!
 俺の時間はひどく永い、また会えるといいな!」


 そして、対する語り部は。


「はは、こんな俺を気に入った物好きの負けですよ。勿体ぶるのが俺なんで、そこは許して下さいね。
 お友達は、・・・考えておきましょう。
 では、次にあるかもしれない出会いに期待して。
 俺の物語を用意しておきますよ。貴方が、気に入ってくれるといいですね」


 そこで幕は引かれ。
 始まりの座談会は、ひとまずの終りを迎えたのだった。

 

 

 

 

<後書き。

<語り部の共演者、緋雪を書かせて頂きました神無月暁夜です!語り部萌えの神無月です!
 この度は尊敬する文書きの心の姉、静流嬢とのコラボですがやっぱり語り部君はいいですね!萌えます。
 拙宅のオリジナルキャラ緋雪さんがとても扱いづらい人だと判明しましたすみませんそれってどうよ俺。でも楽しいのでこれでいいかな!うんいいや人生諦めが肝心ですよねええ勿論です!
 さてさて静流嬢、また機会があればコラボして下さいませ!宜しくお願い致します。


<語り部担当三条です。この話は互いのキャラのなりきり・・・ではありませんが、交互に台詞を書いていってます。いやー新感覚。そんなコラボ。
 それにしても、まさかどっちかが言い出したことが現実になるとは思ってませんでしたよ実は。
 こうして形にできたのってすごいと思います。他人とコラボするのが思いの他難しくて大変でした・・・語り部以上に戸惑っていたのは私です。
 でもとても楽しかったです!ありがとうね神無月!
 ではまたの機会を願って。

 

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プロフィール
HN:
三条 静流
HP:
性別:
女性
職業:
学生
自己紹介:
三条の生態日記。
時々気まぐれにイラストとかSS小説とか出ます。
現在主に書いてるオリジナル小説は『かたり部語り』シリーズです。


三条静流の代名詞:
骸狂。カフェイン中毒。絵描きで物書き。むくろふぃりあ。半腐り。骸狂。
モットーは気ままに気まぐれにマイペースに。
曖昧なものと強烈なものに伴う感動をこよなく愛する。
受験終了しました。新生活もなんとかやっていきたい。
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