2008/06/27 (Fri) 14:17:45 気まぐれＳＳ：世界シリーズ

　〔世界シリーズ〕（死ネタ注意）


　〔君と在るには苦しい世界〕

　「どうしたら、君は僕の傍にいてくれる？」


　彼は身体中血塗れで、銃を持った腕をだらりとさせて、辛うじてそこに立っていた。

　そして、ただただ、目の前に佇む一人の少女を見つめていた。

　彼とは大違いで、汚れひとつない真っ白な服を着た彼女、は、


　「・・・そうだね」


　あきらめたような、疲れた目をして、

　「貴方が死んでくれたら、かな」


　答えをもらった彼はあい待たず、

　「分かった」


　一瞬の迷いもなく。
　自分のこめかみに向けて、引き金を引いた。


　破裂音も、彼が崩れた音も。
　乾きすぎていて、彼女の耳をなぜた後も、砂程度の価値も残らない。


　「この世界では、私達は、一緒にはいられないんだよ。 ごめんね」


　彼女は、ただ一人愛した人の銃を手に、歩き出す。


　「私はまだ眠らない。貴方と共に生きられる世界になるまで」


　「その時が来たら、私もすぐにいくよ」





　――― やっと、君のもとへ ――― ・・・






＜ちょっと古い文章。
　ここまで短いのは珍しい。

　たまに歪んだ話を書きたくなるのは仕様です。（ぇ）