2008/10/09 (Thu) 22:37:35 気まぐれＳＳ：かたり部語り

　〔かたり部語り〕



　〔語り部、食欲を語る〕

『生き物は、冬が近付くと沢山食べ物を食べるんだ。なぜだか分かるかい？』

『冬は食べ物がないから、でしょう？熊の冬籠もりみたいに、食いだめして』

『うん、それもある。でも、それだけじゃない。
　食べ物には熱量とか、エネルギーってよく言うだろう。食べ物を摂ることで、体の体温を保つんだ』

『あー、だから夏は食欲なくなったり、冬は暖かくておいしいものが食べたくなるのかー』

『いや、それは君が食いしん坊なだけ』

『・・・そういう意味で言ったんじゃないし』

『ま、間違っちゃいないけどね。寒くなると、油っぽいものが食べたくなるのも事実だ。
　夏バテせずに逆に太ってしまった人が増えているのは、ずっとガンガンに冷房の効いた部屋で過ごしているのが一因らしい』

『えー、そうなの？』

『聞いた話ではね』

『ちょっと、質問』

『何？』

『今の話、誰に聞いたの？信憑性はどのくらいって言える？』

『誰、じゃなくて何、だよ。テレビでなんかやってたの。
　信憑性は、全国放送されてる時点で俺的信頼確率５８％、大それたガセに対するクレームもないみたいだから６１％、ホントっぽいと思えそうだから６８％総合して７２％ これって結構高い数字だと思わない？』

『思えない。総合の意味が分からないし全部自己判断じゃない。だいたい、それって高いの？』

『高いさ。俺の採点基準で見たらね』

『当社比じゃないの結局のところは。そのテレビに失礼だよ』

『テレビじゃなくて、番組を作ってるとこね』

『揚げ足はとらなくていい』

『君はそれ以上の糖分摂取を止めた方がいい』

『・・・・・・』

『太るよ？』

『・・・これだけ』

『肥えた君なんて見たくないな』

『・・・・・・』

『ね？』

『・・・食べるのをやめたら、この食べかけはどうするの？』

『それは、勿論』

『・・・っ！？』

『俺が貰うよ。君のはね』

『・・・なんつーか・・・ひどい・・・』

『君のためを思っての行動だと理解してほしいな』

『うるさい、もう喋るな口達者なだけのくせに！』

『いやいやごめん、それは無理だから』


『俺は語るのが仕事だから、ね』







＜世界シリーズとは別に書きたかった語り部シリーズ。
　この話では語り部がいろんな人と話したり、勝手に考察したり・・・そんな感じです。
　登場人物を固定してるだけで世界シリーズと大して違いはないかもですが。

　この語り部、実は名前あるんで、出す必要がある話を思いついたら、出します。
　彼はあまり自分のことについては語らないのです。
　語るとしたら、それは自分だけの考え。または一般論・そして異論。

　彼は私の中でもうイメージができていて結構気に入っている人物なので、ネタが浮かび次第、また書きたいです。
　・・グロい話も普通に書くけど、　できるだけいろいろな話を書くように、頑張ります・・。


　・・あ、
　『・・・っ！？』のとこで何が起きたのかは、皆さんの想像にお任せします。正解はありません。
　多分ね。