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いつも何かに心惹かれて語りだす、起伏の激しい無節操ライフ。
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<私にLOMを教えてくれた友達と話してましてね、
 「ポキールってストーカーだよね」と。

 それも家宅に不法侵入するし設定がまず主人公についてくることになってるし賢人だからそれこそ何でも知っててプライバシーのカケラもないし。

 この世界じゃなかったらポキール確実に犯罪です(笑)


 いやしかし 私はそんな彼が非常にすきでございます。(ぉ)
 前のアーウィンに引き続き・・・夢を、書き散らします・・!(ぇ)


 現実からLOM世界にトリップした、主人公設定です。勇者的主人公ポジションではないのであしからず。
 まだよく分かってないのに少ない設定情報を頼りにしてるので、またも捏造だらけです;
 そんなポキール夢・・・・。


 では!書き残して・・・逃げます!∑びゅん!












 町を出た所でユリアは、何故か行く先々でよく会う賢人に出くわしてしまった。



「や、こんにちは。いい天気だね」

「・・ポキール・・・」



 笑顔で挨拶した賢人に対し、少女は整っていると言えなくもない、要するに平均的で、笑えば可愛いらしいはずの顔を欝陶しそうに歪めた。



「・・何か、用?」

 言い方からも、少なくともポキールをあまりよく思っていないことは明白で。

「どこかにモンスターでも出た?言っておくけど、私、戦わないからね。というか戦えないからね」



 そういうことなら他をあたって---この世界の勇者にでも任せておけばいい。


 いくら賢人がそう言っても、ユリアは普通の少女だ。


 見知らぬ世界で生きていくだけでも大変だというのに、そのうえ¨選ばれ召喚された勇者¨みたいな扱いなんてされたらたまったものじゃない。  (しかしこの世界にはすでに勇者ポジションの者がいるらしい。なら何故自分が喚ばれたのだろうか、さっぱりだ)


 不満もあってか突き放すような口調になってしまうユリア。
 その理由だけならポキールに八つ当たるのはお門違いというものだが、



「いやいや、そういうんじゃないよ。
 僕は別に、君にこの世界の救世主になってほしいわけじゃないんだ」


 黒い手――正確には鳥の翼――を振って、ポキールは穏やかに答える。


「君に道を示すことも僕の仕事だけどね、今日はそのために来たんじゃない。
 ・・・この世界、人間は君くらいだろう? 心細くないのかな、と思ってね」



 ユリアはびっくりしたように目を見開いて、


 (だから、いやなのよ)


 スッと眇めて、ポキールを見遣った。



「何言ってるの、そんなの、大きなお世話!なんとかしてくれるつもりなら、私を元の世界に帰してよ。
 大体、鳥人間の貴方にそう言われてもね・・」

「ちょっとちょっと、それは言わないでほしいなぁ。流石に鳥人間はないよ?
 いろんな種族がここにはいるんだから」



 そう、ポキールの言葉の通り、この世界では純粋な人間というのは少ない。(人型の種族は多いが)
 町を歩けば、普通に動物やら野菜やら食器やらが二足歩行して、言語を話して、生活している。


 ユリアも大分、慣れはしたが・・心細い、というか居場所がないような気持ちにはなった。



 自分は完全に異世界から来た異邦人。
 しかも、当たり前に周りに溢れていた人間という同種族はいない。


 実際、心細いなんてものではなかった。



「・・そんなの、なんとも思ってないわ。ここではそれが当たり前なことはもう十分分かったもの。
 それに私は、外見で差別するような人間じゃないから」

「うん、そうだろうね」



 おかしな帽子に隠れた表情は読み取れない。
 けれど、ポキールのくちばしは笑みを作っているように見えた。



「だからこそ、心配なんだよ。
 君は、無茶なことはしないだろうけど・・・逆に、我慢しすぎるようなところがあるからね」


 今度こそ、ポキールは微笑んでいた。
 すらりとした長身の彼は黒い羽の手で、「うん、うん」と一人何事かを納得しながらユリアの頭を撫でる。



「それに、僕の賢人としての役目は『共に歩くこと』なんだ。
 少しくらい、君と一緒にいてもいいだろう?」



 ユリアは、なんとも言い難い表情をして、考えているようだった。


 とにかく、彼女はまずポキールのつややかな手を頭から退けることから始める。



「・・・ストーカーみたいなのね、賢人の役目って」


 ぼそり、そういうとポキールは口の端を歪めて苦い笑い方をする。


「ユリア・・・君っていちいち言い方に毒がないかい・・・?」

「気のせいよ」



 しゃらっと言い切るユリアは、それから一拍置いて、


「・・・ま、役目っていうなら仕方ないわね。 賢人さんもいろいろと大変そうだし」


 息をつきながら、渋り渋り、言ったのだった。



 ポキールの帽子に隠れていない顔下半分にも、柔和な笑みが広がる。


「僕のことを気遣ってくれたのかい?
 ありがとう、ユリア」

「貴方はいつでも自分の都合のいいように生きてるのね。
 その前向きな姿勢には尊敬するわ」



 気遣ったのではない、皮肉なのだと。
 ユリアが言ったところでこの賢人に伝わりはしない。



 (・・・賢人って、何でも知ってるからいやなのよ)

 (特にポキール、貴方は、)



「じゃ、行こうか、ユリア。
 この先は森だから何かいるかもしれないけど、僕がいるから平気だよ」

「そんなこと言って、ポキールが戦うとこなんて見たことないわよ」

「まぁね。でも、今はユリアがいるから、どうかな」




(宿屋で夜一人泣いてるのを、僕は知ってるから)


(せめて少しくらいは、都合よく)




 ポキールは、手を差し延べた。
 それはまるで、姫にするような仕草で。



「怖くても、寂しい時でも。 僕は君と共にいるからね」



 一人の少女に、心の平安を。



「・・・だから、いやだっていうのに、 もう、」


 ユリアは呟いて、ポキールを置いてすたすたと歩きだした。



「え、ちょっと、ユリア!?」

「ついてきたいなら勝手についてくれば? 私はどっちでも構わないけどね」



 (なんて貴方は、いやな人)


 (私が不安な時に限って、側に来てくれるなんて)




 (・・・なんて都合のいい役目なのかしら)





「・・・そして、やっぱりストーカー・・・・・」


 隣を歩きながらなにやら難しくて意味の分からない詩をうたって聞かせてくる変な賢人に、ユリアは深い深いため息をつくのだった。


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プロフィール
HN:
三条 静流
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性別:
女性
職業:
学生
自己紹介:
三条の生態日記。
時々気まぐれにイラストとかSS小説とか出ます。
現在主に書いてるオリジナル小説は『かたり部語り』シリーズです。


三条静流の代名詞:
骸狂。カフェイン中毒。絵描きで物書き。むくろふぃりあ。半腐り。骸狂。
モットーは気ままに気まぐれにマイペースに。
曖昧なものと強烈なものに伴う感動をこよなく愛する。
受験終了しました。新生活もなんとかやっていきたい。
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