忍者ブログ
いつも何かに心惹かれて語りだす、起伏の激しい無節操ライフ。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

<毎朝毎朝、登校中に出くわすのがおなじみとなってしまった、何故かアスファルトに散らばっている大量のカエルがすでにトラウマになりかけてます・・・。orz

 も、いい加減にして下さい・・・君達のいる場所はこんなところじゃないだろう。川でも池でも堀でも何でもいいからお帰んなさい。
 私は今朝も泣きそうでした(;_;)



 このままだとカエルが嫌悪だけでなく完全なる恐怖の対象になりそうなので、
 ・・・それを題材に夢を考えてみました(むちゃくちゃだ!)


 えーと、骸夢、ですが題材がアレなのでちょっと、いやかなり・・・;な感じです。三条の安定剤として書いたようなものなので。


 「どんな骸さんでも、へ、平気、だよ!」って人以外は見ない方がいいです。
 申し訳ありませんが苦情は受け付けられないので。閲覧は自己責任でお願いします。
 あとカエル嫌いな人も見ない方がいい。書いてた自分が気持ち悪くなったので;


 それでもおけぃだよーって方のみ、閲覧どうぞ・・・。








〔カエルロマンス〕






 不意にかけられた声に、私は驚きを隠せなかった。
 その声の主を探して振り向いて、
 その声の主の姿に悲鳴をあげた。


「っ・・・いやぁあぁああぁああ――――!!!!!!」


 近所迷惑にも程がある、自分でもびっくりするくらいの耳をつんざくような絶叫。
 これが人里離れた黒曜ランドでなかったら、誰かに誤って通報されていたことだろう。


 私が振り向いた先、壊れかけた机の上には、一匹のアマガエルが。


「・・っ・・!なんて声出すんですか、鼓膜が破れるかと思ったじゃないですか。
 ・・まぁ今の姿では少々例えが違いますが」


 ヒトの言葉を、それはもう流暢に操り発していたのだ。

 しかも最悪なことに、自分のよく知っている人物の声によく似ている。
 信じたくはない、が、話し方も・・・そうとしか。


 アマガエルは、言語能力を忘れた私の代わりのように続けて言う。


「気持ちは分かります。僕だってこんな姿で会いたくはなかった・・。
 ですが、僕にはどうしても君に会う必要があった。信じられないとは思いますが、エル。
 僕です。六道骸です」


 そんなの、声を聞いた時から気付いていた。
 信じられないんじゃない、信じたくないんだ。


 こんな、なんてひどい悪夢!!


「・・くろ・・?」


 それでも、外見ではない、中身の存在の愛しさに口を開かざるを得なくなる。
 遠い国の暗くて冷たい牢獄に囚われているはずの、彼がここにいるのなら。

 私の声は震えていた。


「な・・に、・・そ、の・・それ、は・・・」

「話せば長くなりますが。
 ・・もういっそ、残った力で動物にでも憑依して脱獄しようと思いまして。
 それで、仕方なく・・運よくこの姿を手に入れたまではよかったんですが」


 カエルが喋っている。

 ただでさえ私はカエルが苦手・・いや、いやでいやで怖くて大嫌いで、それなのにその表現しがたい非現実的な現実を前にして、眩暈で骸の話をスルーするところだった。

 そのまま、現実もスルーしたかった。


「僕としたことが、復讐者の連中に一杯食わされて・・自力で元の姿に戻れなくなってしまいましてね」


 カエルが、落ち込んでいる。
 肩を落とし頭を垂れて、どんより暗い効果すらその背中に見えるようだ。

 確かに、骸には屈辱だろう。まぁそれは誰に対してもだが。
 落ち込んではいるようだがそれでも絶望していないところは、すごい。流石、すごい精神力だ。


 それがたとえちっぽけなアマガエルになってしまったとしても。

 そしてそれが骸本人すら想像し得ない程シュールで不気味な絵面だったとしても。


 そしてそして。

 生憎、私には絶望と恐怖に耐えられるだけの精神力は、無い。


「マフィア風情が、脱出した僕を追い詰めたところで言ったんですよ。
 『お前の力はまだ制限されている。誰かから力を与えられないと元の姿には戻れない。その姿では何もできるまい』と!
 あぁ、思い出してもはらわたが煮え繰り返る。そう、この僕をわざと逃がすなんて。屈辱ですよ・・。それは僕が一方的に力を奪えないということではないですかっ・・!」


 カエルがぺたぺたと足踏み(地団太?)して怒っている。

 私の目、というか頭もおかしくなっているようだ。
 が、それ以上に嫌な予感がして、背中を伝った。


 聞かなきゃいいのに、私は引き攣った表情で、尋ねた。
 だって、カエルへの恐怖よりも、本当の骸に会いたかったから。


「・・・むく、ろ?
 じゃあ、どうやって元の姿に・・」

「復讐者の言葉によれば、・・・相手の方から力を・・・口移しで、与えて貰えさえすればいいと」


 ため息混じりの骸の言葉に、私は今度こそ言葉を失った。


 要するに、だ。

 哀れなカエルとなった骸は、誰かにキスして貰わなければならないらしい。


 ・・・どこのどいつだ、そんなお伽話or少女マンガ的展開実践しようとした夢見がちは。


 そんな夢見るオトメな復讐者がいてたまるか、でも実際にいたのだからなんとも言えない。
 嫌がらせのつもりならその復讐者は天才だ。そのセンスは常識を逸している。

 もちろん、これは皮肉。というか気分的には呪いの域。
 ちょっと、誰かその復讐者連れて来てよ シメるから。


 灰色の靄みたいなものだけが今私の中で1番鮮明になっている。
 麻痺した感覚は、骸の声を受け入れるので精一杯だった。


「そこで・・・エルに頼みたいんです。
 僕を元の姿に戻して 「 イ ヤ !!!! 」


 自分でも、ひどいと思った。
 しかし、気付いたら即答していたのだ。
 これはもう反射の反応に等しい。私の中に、刷り込まれている。


「・・・まぁ、そう言うでしょうね。この姿では・・・誰だって・・・」


 カエルがショックを受けている。

 こんなに表情豊かなカエルなんて、CG合成のコメディ映画なら面白いかもしれないが、恐ろしいことにこれはリアルだ。
 頭では分かっていても、違和感が素晴らしいくらいに恐怖を煽ってくれる。


 「ムリ」もこたえるだろうが、「イヤ」と言われたことに少なからず衝撃を受けているのだろう。
 この姿だから仕方ないにしても、・・・恋人にキスを拒まれたら、普通に傷付く。その点は骸といえども例外ではなく。


 しょぼんとしている骸に私は心の中で必死に謝る。
 けれど、どうしても触れられなかった。



 昔の話。
 私がまだ小さくて、アマガエルなら余裕でつっついて遊んでいられたときのこと。


 道端に、カエルが仰向けになって、転がっていた。
 私はしゃがみ込み、白くて半透明のカエルの腹をつっついた。
 なんで動かないんだろう、なんでぴょんぴょんしないんだろうと。
 つい、力をいれてその腹をぶっ刺してしまった。

 その時、まだ息があったらしいカエルがびくりと反応して、急に跳ね上がった。
 驚いて口が半開きになった、私の、顔面に、びちゃりべとりと。


 その時の恐怖といったらない。
 辛うじて口に入ったりしたわけではないが、文字通り眼前にぬめぬめとした横に引き伸ばしたようなのったりとした顔があり、中から染み出した体液が頬を伝った。
 それだけでも十分なのに、悲鳴をあげてカエルを顔から引きはがした私は、それを素手で握り潰してしまったのだ。


 あの光景は、忘れようにも忘れられるものではない。
 今も思い出しかけて吐き気がしている。


 なんで、よりにもよってカエルなの・・・?!

 それに比べれば、私はネズミや蛇にだって喜んでキスしよう。
 私のカエル恐怖症はそれほどのレベルなのだ。
 いくら骸だと思い込んでも、できない。できるはずがない。
 私の頭が体がすべてが拒絶反応を起こす。


 どうしていいか分からず、泣きたくなった。



「ごめ・・・むく、ろ・・・。私、ダメ、なの・・・かっ、カエルだ、けはっ・・・」


 呼吸が荒れていて。
 骸も、私の状態を悟ったようで。


「・・・すみません。僕の畜生道にも怯まないので君なら、と思ったのですが。
 それでも、君に頼むべきではありませんでしたね。これではただの拷問だ」


 ゆっくりと、頭を左右に振った。


「都合のいい、僕の我が儘です。・・・僕は君に会う前に鏡を見ておくべきだった」


 何故だろう。
 カエルの顔が、悲しそうに笑ったように見えた。


「・・・では、僕は行きます。他の方法を探しますよ」


 くるり、背を向けて。
 骸はぴょんと跳ねた。



 まって。



 跳ねる様子に心臓が縮んだ。
 でも、その一瞬で、思った。


 ・・・骸、あなたは、復讐者に言われた方法で元に戻る気はないの?
 カエルが大好きな人だって、この広い世界だ、探せばいるだろうに。
 わざわざ、その可能性を捨てて?


 ・・・私のせいで骸が元に戻れないなんて、


 そんなの、イヤ。



 心の声は言葉になってはくれなかった。
 でも引き止めようと踏み出した足はもつれて、そのまま倒れ込んでしまい、
 幸いにもその音が、骸を引き止めた。


「エル!?何をやっているのですか、君は・・・!」


 心配そうに骸が戻ってきて、少し離れたところで、止まった。
 それ以上近付いたら、何かが壊れてしまうとでもいうように。


「あぁ・・・まただ。今の僕は、君に近付いてはいけないのに」


 違う。骸は悪くない。
 今、1番辛いのは骸のはずなのに、私は、そんな骸になんてことを、たくさん、たくさん。


 謝らなきゃいけないのは、私だ。

 骸を助けられるのは、私しかいないんだから。



「目・・・閉じて」

「え?・・・なっ、まさか!」


 近付いた私に、迂闊に骸は飛びのくこともできず、固まった。


「無理をするのは止めるんです!僕は君にそうまでさせて元に戻りたくはない!」


「骸」


 私は、どんどん激しくなる動悸を抑えるように胸元を掴んで、息を呑み、微笑んだ。


「私、カエルにキスするよりも、骸にキスできなくなる方が、やだよ」


 骸は押し黙って、・・・ようやく、目を閉じた。


 何時間かかっているのかと思った。実際、数分は経っているだろう。
 掌に骸を乗せて顔のところまで運ぶが、全身の震えが止まらない。汗が、流れ続ける。

 でも骸は、じっと、置物のようにしていてくれた。



 おそる・・おそる・・。

 まさにそんな感じで、やっと私の唇は骸のそれと触れ合った。


 その瞬間、張り詰めていた糸が切れたように私の体からすべての力が抜け出てしまった。
 手はだらんと落ちていて、目が開けられない。顔も上がらない。
 心臓の音だけが満ちていて、涙が絶え間無く溢れていた。



 その時、私の頬に触れた乾いた温かい感触。
 その一瞬で、私の冷たくなった指先まで、ほわっと温かくなった気がした。


「エル」


 変わらない、心地のよい声。
 愛しさが溢れて、温かな腕にきつく優しく抱かれて、さっきまでとは違う涙が溢れた。


「エル。僕の愛しいエル」


 骸のもつ大きな存在の温かさが、私を泣かす。


「ありがとう。君にしか、僕はキスなんてできません」


「・・・うん。おかえり、むくろ」


 私は力の入らない顔の筋肉を緩く引っ張りあげた。

 まるでなっていない笑顔。でも、声は伝わったかな。


 骸に顔を手で上げられるのも、されるがまま。

 今度は、恐怖なんてねこそぎ消し去ってしまいそうな、優しくて、愛しくて、愛しくて・・・本当に、骸がここに在ると、骸と共にいるのだと証明してくれる。

 骸の唇は少しだけ湿ってて、柔らかくて、・・・やっぱり頭がおかしくなっているのだろうか。

 ほんのりとした、甘さを感じた。





 ・・・こうして、私は以前ほどカエルが怖くなくなったのでした。

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
[324]  [323]  [322]  [321]  [320]  [319]  [318]  [317]  [316]  [315]  [314
プロフィール
HN:
三条 静流
HP:
性別:
女性
職業:
学生
自己紹介:
三条の生態日記。
時々気まぐれにイラストとかSS小説とか出ます。
現在主に書いてるオリジナル小説は『かたり部語り』シリーズです。


三条静流の代名詞:
骸狂。カフェイン中毒。絵描きで物書き。むくろふぃりあ。半腐り。骸狂。
モットーは気ままに気まぐれにマイペースに。
曖昧なものと強烈なものに伴う感動をこよなく愛する。
受験終了しました。新生活もなんとかやっていきたい。
カレンダー
06 2025/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
最新CM
[04/25 三条]
[04/24 弥生]
[04/05 三条]
[04/04 雹月]
[10/13 神無月暁夜]
[08/31 ウェイブ]
[08/30 ウェイブ]
[06/29 ウェイブ]
[05/16 ウェイブ]
[04/28 小春]
リンク
カウンター
忍者ブログ [PR]